桜美林大学 芸術文化学群

小林良穂研究室
2023年度成果

この研究室は「音楽とテクノロジー」を大きなテーマとし、
「音楽とは何か」を柔軟に捉え考えながら、
学生毎の興味関心に応じたプロジェクトに取り組んでいる。

卒業研究

Ireland
United States
Japan

ハロウィンは国によっての認識が異なる。伝統文化を継承する国もあれば娯楽やビジネスに発展する国、ハロウィンというイメージをアートにする国。
アイルランド、アメリカ、日本の3カ国をピックアップし、それぞれの国が持っているハロウィン像を私のイメージで曲にした。
それぞれの国がハロウィンの際に行うイベントや伝統楽器などを楽曲内に用いてそれぞれの国が持つ色を私なりに表現した。
Logic Pro を用いて楽曲を作成した。

漆澤秀卓
桜美林大学芸術文化学群4年生 東京都出身
大学では、主に歌を専攻し学んでいる
Youtubeやサブスクリプションサービスにて自主制作曲[High 2]を配信。
https://www.youtube.com/channel/UCkfRPw4rRu3KpeRaU-AcNRg

Urushizawa Image

「人間が考えつかないようなドラムパターン」をコンセプトにL-Systemを用いて作品を作った。
L-Systemとは様々な自然物の構造を記述できるアルゴリズムであり、藻類の成長過程やフラクタル図形でよく知られている。
例えば、A,Bの文字があり、A→AB,B→Aに成長していくとすると
  • A
  • AB
  • ABA
  • ABAAB
  • ABAABABA
というように成長していく。

今回は、A→B, B→AAC, C→AD, D→A に成長していくと考える。
  • A
  • B
  • AAC
  • BBAD
  • AACAACBA
  • BBADBBADAACB
  • AACAACBAAACAACBABBADAAC
  • BBADBBADAACBBBADBBADAACBAACAACBABBAD
  • AACAACBAAACAACBABBADAACAACAACBAAACAACBABBADAACBBADBBADAACBAACAACBA
このように成長していく。それぞれの文字にドラムパターンを当てはめる。
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L-Systemによって成長していった文字列にドラムパターンを当てはめることで、不規則なリズムの繰り返しが生まれ人間的でないものになった。
また、成長する過程も合わせることで展開が生まれ、次にどんなリズムが来るか予想できないものになった。
テンポは128に設定した。細かい音符がキツく聞こえず聞きながらL-Systemの構造を考えられるようにこだわりを持って決めた。
ぜひ楽譜と共に聞いてほしい。

楽譜

菊地晴香
音楽専修4年。
ドラムを専攻し、ラテンやジャズを中心に学ぶ。
演奏家として舞台作品に出演(学生劇団ノープランによる“出エジプト”)、劇伴のレコーディング(東京大学合唱団あらぐさによるミュージカル公演)、ボカロPによるオリジナルバンドでのライブ活動や楽曲参加など、活動の範囲は多岐に及ぶ。
https://fori.io/keykeydrums123

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人は、何かが起きそうな気配や、予想できない事態のような未知のものが来ると思った時に恐怖を感じる。生活する中で現実とは異なる違和感を感じた時、人は目に見えない生命を感じる。その中で、恐怖と生命を繋げ、テーマとして掲げた。
内容は大学の中で同じ場所から抜け出せないループを繰り返してしまう奇妙な状況を表したかったので大学で映像を撮影し、TouchDesignerを使用して制作した。

佐々木美優
桜美林大学芸術文化学群音楽専修4年生。
大学ではバイオリンを専攻し、主にパソコンを使用した映像音楽について学んでいる。

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専攻演習

音楽と空間の表現というのは切っても切れない関係性である。音楽に触れる中で『ヘッドホンの中にある空間』というものに興味を持つようになった。

本作品ではコンピュータの作れる空間に着目して制作を行った。
制作にあたり学習した中でわかった人間が音から空間を感じ取る要素は以下の通りである。
  • 音量
  • 周波数
  • パン
  • 残響
  • トランジェント
である。
これを踏まえ、dearVR MUSIC, Ozone Imager V2やリバーブを使用し作成を行った。
作品内ではループで構成された1曲の中で空間の移動がある。これは私が今できる「こんなこと起きたら面白い」を最大限詰めた作品だ。

高橋愛花
中学生頃からニコニコ動画等のインターネットを通して音楽に触れる。現在は特に音響処理や音響表現に興味を持ち学んでいる。

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「日常の景色から音楽を」をテーマに動画内の動きに沿って音をつけた作品。環境音として聞けるようにし、この音楽に気づいた時に不思議な音楽が日常のあの景色から生まれたのかと不思議に感じてもらうことを目的とした。
動画(道路)の内容に合う、車のクラクション、バイクのエンジン、足音を使用している。
それぞれの音に規則性を持たせて、音源をsimplerでMIDI楽器へ変換し音程を変化させた。
規則性については以下の通り。
音の区分
  • トラック,普通車 : 車のクラクション
  • バイク : バイクのエンジン音
  • 人 : 雪を歩く音,コンクリートを歩く音
※クラクションやエンジンの音源は短いため、音が途切れない場所を探してloopさせ音を長くする。
また騒音にも聞こえる音だが、EQやDelay、Reverbなどで音源の元の姿は残したまま、圧迫感のある音の輪郭をぼやけさせ、不思議な音にしている。
規則性の区分
  • トラック:D1〜
  • 普通車:C2〜
  • 軽車:G♭3〜
  • バイク:C3〜
  • 人 : 右足F3,左足G3→E3,F3→D3,E3→C3,D3→C3,C3
※〜について: 同車線で同じ区分の自動車が通れば、隣の白鍵へ音が上がる。軽車のみ黒鍵上を移動する。
また遠近出すため、向かって右車線は音が段々と大きくなり左斜線は段々と小さくなり、人の足音は遠くなるにつれ小さく低く小さくなる。音の強弱はsimpler内でattackとreleaseを用いながら、オートメーションで仕上げている。
この作品を見て「自分ならこの景色にはこんな音をつけたい」と日常から音楽を見つけてほしい。

竹津七海
幼い頃にピアノを始める。高校はピアノを専攻していたが映像と音楽に興味を持ち、大学ではピアノと映像音楽についても学ぶ。

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この作品は、気象庁の気象データを元に「温暖化」を「音」で表現したものである。

現時点で地球温暖化の原因として考えられているのは二酸化炭素の増加によるものである。私たちの生活の中で多くの二酸化炭素を排出する物の一つとして「車」が挙げられる。日本における車の所有台数は年々増加し、今では6000万台を超える。
この事実を踏まえ、1966年から2022年までの約50年の自動車推移数を音数に当てはめてある。1966年を「1」とし、前年と比べ100万台増えるごとに音が1つ増えている。気温データはエフェクトに使用した。1966年8月の最高気温を1とし、0.5度上がるごとに1という数値を設定した。4以上の数値が現れた年にリバーブをかけて強調させた。ディケイを数値に合わせて増やしている。さらに、4以上の数値がコンスタントに現れ始める1990年以降は空気中の二酸化炭素含有量もエフェクトに加えた。3ppm増えるごとにEQでLowのGainを1上げている。

冒頭は低音で濁った音しか聞こえないが、だんだん音数が増え最終的には増えているのかどうかわからない。しかし、時間が経つにつれて響く音が増えることで近年の最高気温の高まりと二酸化炭素の増加を感じたらことができるよう心がけた。

波多野遥
幼少期からピアノを習う。中学からギターを始めたのをきっかけに、音楽について学ぶ事に興味を持つ。大学では音楽だけにとどまらず、文化やデザインなど幅広く学んでいる。

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コンセプト
映像の変化と音楽の変化をリンクさせ、聴覚と視覚の一体感を楽しめる作品を作りたい。
一方の変化や加工に伴って、もう一方もそれに合った変化や加工が成されていく。
また、映像もいくつか用意し、映像の切り替わりに応じて、曲の中で雰囲気が変わるように作曲。

対応しているもの
a,彩度=リバーブ
b,露出=フィルター
c,画素=ビットクラッシャー

映像
final cut pro
フリーの映像を使用
見づらくならないように動きの少ない映像などを条件とし、いくつか映像を選ぶ
また、海が映ってるものを共通して選び、夜→朝→日中→夕方となるよう時間軸を意識した
1,月と静かな海
2,崖と海
3,崖と海辺
4,夕焼けの海辺
加えて、視点が段々と陸になるように意識した

音楽
logic
選んだ映像の雰囲気に合わせ曲を作っていく
また、曲中の雰囲気の切り替わりに違和感が無いように、編曲し繋ぎ合わせていく
1,「神秘的」というワードを連想して、個人的に神秘的だと思う雅楽(管弦)を参考に。
2,明るい映像になるため、久石譲の「Summer」を連想し、曲を繋げた。
3,明るい調性を残し、4,に繋がるように展開していった。
4,映像に合わせ、暗さを感じられるような調性にしながら終わりに向かった。

本田尚也
2002年12月生まれ。元々は流行りの曲を聴く程度であった。
14歳の頃に、フォルクローレと呼ばれる民族音楽に出会ったことが、音楽を演奏するきっかけとなった。簡単な打楽器から始まり、約1年後ギターをメインに練習し始める。
高校卒業後、専門学校の、ESPエンタテインメント東京に入学。それを機に、音楽について本格的に学び始める。専門学校では、主に理論、作曲、DTMについて学んだ。それに加えて、ベース、ドラム、キーボードにも触れ始める。
2年間学び卒業後、桜美林大学に編入し、現在に至る。
更に発展した理論や、専門学校で学びきれなかった事を主に勉強中。

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○作成経緯
パンデミックによるライブ活動の自粛や、単に当落で参加出来る出来ないが限られてしまうのがとても惜しい。好きなときに好きな場所で誰でもライブを楽しめる空間ができたらもっと音楽を楽しむ幅が広がるのではないかと考えた。
私自身、ライブに行くのが好きで、いつでもあのドキドキ感を味わえたらいいなと思ったことも、作成に至った理由の一つである。

○留意点
あくまで架空のバンドとしてのライブ前演出を表現している。
ライブ会場の規模は、始めはZeppのようなライブハウス系を想定していたが、作る過程で、もっと広がりのある広いアリーナ規模の空間の方がワクワク感を出せると思い、キャパ20000くらいのアリーナを目標に作成するよう変更した。
ライブの空間を客観的に録音したものではなく、自分も観客の一員として参加しているような臨場感を求めた。
立体音響をつけるより、リバーブやオートパンなどで広がりや残響をつけるのを優先した。視覚情報がなくても、聴覚情報だけで、いかに目の前の景色を想像させるかを工夫し、制作した。

結城美友
2002年生まれ。6歳でピアノを習い、エレクトーン、トランペット、ギター、フルートなどその他数多くの楽器に興味を持つ。高校生で音楽理論を学び、編曲も行っている。大学ではフルートをメインに、ソロ、アンサンブル、オーケストラなどに挑戦している。

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ウォールオブサウンドを軸としたサウンド作りを行ってきた。Roland SC55mk2をベースにしてリズム隊を構築、その上にギターやピアノで音圧を上げ、音の壁を作った。デジタルの音を生音に限りなく近づけようと試みるためにボーカロイドを使った。抽象的で広くとらえる表現を詞曲に施し、evergreenな作品を目指した。

弓削田孟
2002年4月23日東京都生まれ。小学生の頃から音楽に触れ始める。専門的な教育を受け始めたのは大学に入学してから。サウンドデザイナーの道を志し、アンビエントやケルト音楽の研究を行っている。Maxを使ったインスタレーションやTouchDesignerでのビジュアル作品を制作中。あらゆることと音楽を結びつけ、サウンドアートの枠にも囚われない作風を目指す。

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